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バナナの病気、新パナマ病が南米へ [経済]


アジアやアフリカのバナナ農園で猛威を振るっている病気が、
とうとう南米に上陸した。「トロピカルレース4」(TR4)型パナマ病。

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感染した土壌で育ったバナナを人間が食べても危険はないが、
感染した木はやがて実をつけなくなる。

中南米、カリブ海地域、アフリカ、アジアでは、バナナは多くの
人にとって欠かせない栄養源

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TR4への耐性を兼ね備えているバナナは存在しなく
食料源および輸出品としてのバナナに壊滅的な被害が出て
経済危機を引き起こす可能性がでてきている。


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2019.08.21
食卓からバナナが消える? 新パナマ病が南米へ

壊滅的被害の可能性、コロンビア政府は非常事態宣言
ナショジオ

アジアやアフリカのバナナ農園で猛威を振るっている病気が、予防措置がとられ
てきたにもかかわらず、とうとう南米に上陸した。

8月15日、コロンビアで農業を管轄する政府機関ICAは、検体検査の結果、
「トロピカルレース4」(TR4)型パナマ病が同国のバナナ農園で検出されたこと
を確認した。この発表とともに、国家非常事態宣言が出された。

この病気が確認されたということは、食料源および輸出品としてのバナナに壊滅的
な被害が出る可能性があるということだ。

TR4は、フザリウムという菌がバナナの木に感染して起きる病気。感染した土壌で
育ったバナナを人間が食べても危険はないが、感染した木はやがて実をつけなくな
る。


感染が急速に拡大

この菌が初めて見つかったのは、1990年代初頭、台湾の土壌サンプルからだった。
その後は長いこと東南アジアとオーストラリアにとどまっていたが、2013年には
中東とアフリカでも確認されるようになった。専門家は、やがて世界のバナナ輸
出産業の中心である中南米に広がることを危惧していた。

オランダ、ワーヘニンゲン大学の熱帯植物病理学教授であるヘルト・ケマ氏は、
「発見されてからでは、もう手遅れなのです。知らないうちに周囲に広がってい
る可能性が高いと考えられます」と話す。

ケマ氏は、今回TR4を確認したコロンビアの土壌サンプルの分析に加え、それ以前
に発生した菌の分析も行っている。

今のところ、TR4に有効な殺菌剤や生物的防除法は見つかっていない。コロンビア
の植物病理学者で、検査を統括したフェルナンド・ガルシア=バスティダス氏は、
「私が知るかぎり、ICAや農園による封じ込めはうまくいっています。
しかし、TR4を根絶するのはほぼ不可能です」と言う。

この菌が広まりやすいのは、バナナ農法自体の問題でもある。現在の商業プラン
テーションで生産されているバナナは、ほとんどがキャベンディッシュという
遺伝的に同じ品種だ。遺伝子が同じであれば、同じ病気にかかりやすい。

こうした単一品種の栽培は、商品作物を安く効率的に育てて販売するうえでは
便利だが、病害には極端に弱い。


米国をはじめとするバナナ輸入国では、価格高騰や品薄に直面することはあって
も、食べものに困るわけではない。しかし、中南米、カリブ海地域、アフリカ、
アジアでは、バナナは多くの人にとって欠かせない栄養源となっている。


現在、スーパーマーケットの棚に並んでいるバナナは、ほとんどがキャベンディ
ッシュ種だ。ほかにも、バナナ生産国の人々は、プランテーン(調理用バナナ)
などの多数の現地品種によって食料を確保している。

しかし、TR4はさまざまな種に感染することでも知られている。つまり、ほぼすべ
てのバナナが何らかの影響を受ける可能性がある。


経済危機を引き起こす

南米のバナナは、食料源であるだけでなく、重要な経済資源でもある。バナナ輸出
国上位5カ国のうち、4カ国が中南米だ。米国にバナナを輸出している国にいたって
は、上位10カ国すべてが中南米となっている。

世界最大のバナナ輸出国は、コロンビアと国境を接しているエクアドルだ。
中南米でTR4が広がれば、大規模な経済危機にもつながりかねない。

似たような事態はかつて起こっている。20世紀中ごろ、現在はレース1と呼ばれて
いる旧パナマ病の病原菌によって、グロスミシェルという種類のバナナがほぼ完全
に世界から消えた。当時、米国やヨーロッパに輸出されていたバナナは、このグロ
スミシェルだけだった。

その影響で、生産されるバナナは、少し淡泊な味ではあるもののパナマ病に耐性
を持つと言われる品種に切り替えられた。

それが、現在広く流通しているキャベンディッシュだ。
新パナマ病の病原菌であるTR4は、このキャベンディッシュにも感染する。

前回のパナマ病の流行とは違い、今回はすぐに切り替えられそうな品種はない。
世界的に見れば数千種類のバナナがあるが、大規模商用栽培、長距離輸送、国際
市場に対応できる特徴を備えたものは、ごくわずかだ。

世界的に好まれているキャベンディッシュに似た特徴や味、外見と、TR4への耐性
を兼ね備えているバナナは存在しない。


バナナは消えてしまうのか?

栽培バナナはクローン繁殖のため、新しい品種を作るのは非常に難しく、時間もか
かる。ホンジュラス農業研究財団(FHIA)の科学者グループは、TR4などの病気に
耐性を持つバナナを開発したが、なじみがない品種なので、消費者や栽培農家を獲
得するのは容易でない。

1990年代、ある開発プロジェクトがFHIAのゴールドフィンガーとモナリザという
品種をカナダで販売しようと少量を持ちこんだが、客は寄りつかなかった。

遺伝子組み換えによって病気に強いキャベンディッシュを作ろうとしている科学者
もいる。中でも有名なのは、オーストラリアのクイーンズランド工科大学のジェイ
ムズ・デール氏だ。しかし、消費者が遺伝子組み換え食品を敬遠していることが、
普及の大きな障害となるだろう。

アジアでは、ソマクローナル変異と呼ばれる手法によって品種改良が行われてい
るが、病気への耐性は完全ではなく、栽培上の性質も十分とは言いがたい。

どんな手法を使おうと、有効な品種が1つできたところで、それは長期的な解決策
にはならない。「1つではなく、複数の新品種のバナナを作って生物多様性を実現
しなければなりません」と前出のケマ氏は言う。

「そもそも、単一品種の栽培は持続可能ではないのです」

消費者や業界関係者はキャベンディッシュを好むかもしれないが、未来を考えれば
それに固執すべきでないだろう。

1500品種以上のバナナを集めた「国際ムサ生殖質コレクション」(「ムサ」はバナ
ナの学名に由来)を管理するベルギー、ルーヴェン大学のロニー・スウェンネン教
授は、「現在のキャベンディッシュに代わる別のキャベンディッシュがあるとは言
いませんが、違う色、違う形、違う収量の品種であれば、TR4への耐性を持つもの
が存在します」と言う。

「問題は、業界がそれを受け入れるか、消費者が味の変化に対応できるかどうか
です」

現在、TR4型パナマ病は南米に広まりつつある。そうなると、私たちに選択肢はな
くなるかもしれない。

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