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インターネットは、国単位で分割される [IT]

インターネットは、「スプリンターネット」になりつつある。

ウェブやインターネットは単一で万国共通のもの、というのは、歴史を振り返ると多分
に偶然の産物である。結局のところアメリカという一国が開発を主導したので、たまた
まそうなったという面が強い。

TwitterやFacebook、Googleが中国からは使えないのがいい例で
インターネットが爆発的に普及すると、「サイバースペース」という単一の世界が存在し
、それと物理的な世界が対立関係にある、という感覚が広く共有されるようになった。

ようするに、インターネットはアメリカネット、EUネット、中国ネット、ロシアネットと
いった具合に、国単位で分割されつつあるのである。スプリンターネット化によって、
ようやく国家がネットをコントロールする可能性が見えてきたのだ。

スプリンターネットを前提にすれば、ネットを国内法や規制で飼い慣らすことが出来る
ことがだんだん分かってきて、日本を含む民主的な国家でも、知ってか知らずかスプリン
ターネットを志向するケースが増えているように思う。これは危険な兆候である。

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スプリンターネット化によって、ようやく国家がネットをコントロールする可能性が見
えてきたということは、ネットを国内法や規制で飼い慣らすことが出来るということ。

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2019年03月15日
インターネットは、国単位で分割される「スプリンターネット」になりつつある
newsweek

<ウェブやインターネットは単一で万国共通のもの......
という状況は、ここ数年で大きく変化しつつある。国単位で分割されつつ>

www.yahoo.co.jp のようなアドレスを、我々は毎日目にしている。先頭のwwwが何を示
しているのか、もはや気にもしないだろう。もちろんWWWというのは、World Wide Web
の略である。

我々は最近まで、ウェブがワールド・ワイドであることを疑いもしなかった。
日本にいようが、アメリカにいようが、ドイツにいようが、シンガポールにいようが、
www.yahoo.co.jp とウェブブラウザに入力すれば、同じヤフーのウェブサイトを閲覧で
きると確信できたのである。


中国ではTwitterやFacebookが使えず、トルコも......

しかし、ここ数年で状況は大きく変化しつつある。有名な例として、中国でWikipediaを
見ようとすると、政治絡みの一部のページにアクセスできないのはよく知られている。
TwitterやFacebook、Googleも中国からは使えない。

使えるのはWeiboでありBaiduであり、全くの別世界なのだ。私も先日香港にいたとき、
何の気なしにスマホでNetflixを見ようとしたら、日本にいるときとはずいぶん違う番組
ばかりが表示されて今更ながら驚いたことがある。

トルコからは、そもそもWikipediaにアクセスできなかった。全言語版がブロックされて
いるのだ。

ウェブやインターネットは単一で万国共通のもの、というのは、歴史を振り返ると多分
に偶然の産物である。結局のところアメリカという一国が開発を主導したので、たまた
まそうなったという面が強い。

1990年代に入ってWWWが生まれ、インターネットが爆発的に普及すると、「サイバースペ
ース」という単一の世界が存在し、それと物理的な世界が対立関係にある、という感覚が
広く共有されるようになった。

昨年亡くなったジョン・ペリー・バーロウが1996年に発表したサイバースペース独立宣
言は、まさにそうした考え方から生まれたものと言えよう。


単一の「サイバースペース」はもはや存在しない

しかし、今や我々が使っているインターネットは、彼らが使っている「インターネット」
(厳密にはイントラネットと呼ぶべきか)とは違うのである。我々が見られるページが、
彼らには見られなかったり、彼らに見えるものとは全く別物だったりする。

単一の「サイバースペース」はもはや存在しないのだ。これを、スプリンターネット
(splinternet)と呼ぶ。splinterとは分裂のことだ。

分裂というと小さな一部分が分かれたような印象があるが、ネットのユーザ数で見れば、
2017年の時点で中国は8億人に迫っている。アメリカは2億5千万人程度、日本は1億2千万
人程度で、足しても中国にはとうてい及ばない。

分裂というよりは、似て非なる全く別のものが現れたと考えたほうが実態に即している。
そして、それは我々よりもはるかに巨大なのだ。


アメリカネット、EUネット、中国ネット、ロシアネット......に

スプリンターネットをもたらしたのは既存の国家であり、その手段となるのがネット検閲
やブロッキングだ。例えば中国は金盾、俗にグレートファイアウォールと呼ばれるシステ
ムを構築し、中国国外との接続を厳しくコントロールしているが、これは政治的に情報の
出入りを検閲し、国家の管理下に置きたいからだ。

最近話題になったのはロシアで、国内のネットワークをインターネットから切り離す実験
をすると発表した。ちなみにロシアにしてもネット人口は1億人程度と、日本に匹敵する
多さである。ロシアの試みがうまく行けば、他の国も続くかもしれない。

ようするに、インターネットはアメリカネット、EUネット、中国ネット、ロシアネットと
いった具合に、国単位で分割されつつあるのである。スプリンターネット化によって、
ようやく国家がネットをコントロールする可能性が見えてきたのだ。

かつてネット検閲と言えば専制国家の専売特許だったが、スプリンターネットを前提にす
れば、ネットを国内法や規制で飼い慣らすことが出来ることがだんだん分かってきて、
日本を含む民主的な国家でも、知ってか知らずかスプリンターネットを志向するケースが
増えているように思う。これは危険な兆候である。


自国のネットへのアクセスが、政治的、経済的な取引材料に

そして、自国の「イントラネット」へのアクセスが、政治的、経済的な取引材料として使
われるようになってきている。その際の武器になるのが、往々にしてプラットフォーム規
制やプライバシー保護、サイバーセキュリティといった美辞麗句なのは皮肉なことと言え
よう。

EUと日本の個人データ移転を巡るGDPRの十分性認定にもそういう面があったし、そのうち
中国も、金盾を入れていない国はサイバーセキュリティ対策に問題があるから、そうした
国の企業の中国ネットへのアクセスを禁ずる、などと言い出す可能性もある。

スプリンターネットはかつて「インターネットのバルカン化」と呼ばれることもあったが
、むしろこちらのほうが適切な表現かもしれない。

スプリンターネット化の理由を、インターネット・ガバナンスの中心となる存在の不在に
求める見解もある。先日パリで開催された国連のInternet Governance Forum 2018では
、フランスのマクロン大統領が演説し、インターネットには正しい規制が必要だ、IGFこ
そが規制の主体になれ、なれないならもっと政府が乗り出すぞと発破をかけた。
彼の演説は賛否分かれたが、問題意識は分からなくもない。


我々は情報の自由を求めてまたフロンティアを開拓するしかない

インターネットのスプリンターネット化を我々はどう評価すべきだろうか。原則として、
自分が見たいものが見られず、あるいは見ようとしたものと違うものを見せられる、とい
うのは、知る権利の重大な侵害であり、よほどの理由が無い限り容認できないと私は考え
る。インターネットの強みだった相互接続性が損なわれるのも問題だ。

一方で私自身は、インターネットが一般大衆のものになった今、細かく管理され、人畜
無害で漂白されたものになっていくのは残念だが仕方がないとも思っている。

いずれにせよ今後インターネットは、可愛い猫の写真ばかりの安心・安全で無意味なも
のになっていくのだろう。だとすれば、我々は情報の自由を求めてまたフロンティアを
開拓するしかない。

私がこのところTorやI2P、Namecoin、IPFSといった、テイクダウンやネット検閲に対抗
できる(かもしれない)技術の開発に取り組んでいるのは、そういった問題意識による。

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